究極的には、潜在意識とは過去であり、幻想と言えます。
ですが、大切なことは、それ自体が幻想か否かではなく、自分がそれを幻想と「信じているか」です。
私たちの意識の力は、私たちが思うよりも、はるかに強大です。
そして実際には、私たちはそれらを幻想とは全く信じていない(信じたくない)のが本当のところであり、またその信念を強固にしているのが、満たされなかった感情などの執着(欲望)です。
私たちが、普段同一化している自我の思考パターンと、それに付随して浮上する感情は、その多くが潜在意識=無意識からのものです。
そして、その潜在意識からの働きかけを、私たちはほとんど自覚しておらず、無意識に湧き上がる思考や感情に動かされ、心で自他をジャッジしたり、攻撃したりしています。
癒しの分野において、よくインナーチャイルドという言葉が使われますが、インナーチャイルドとは、この潜在意識に留まったままの過去の未消化の感情を指します。
そして、その未消化(怒りや憎しみ、恐れ、悲しみ)が多いほど、無自覚に、今の生活の中でそれらを補うことが、日々の優先事項となってしまいます。
感情が、過去になることを許されず、潜在意識に留まるのは、未消化が主な要因です。
私たちの感情には、喜びや幸福感などもありますが、それらはその瞬間に受け入れられ、消化されるため、留まって強く訴えることはしません。
この未消化が起こる原因として、幼い頃の生育環境やトラウマ的なできごとなどがよく挙げられます。
ですが、実はそれらは本当の原因ではありません。
未消化の本当の原因とは、真の自己(真我)を見失い、自我と同一化したことにより生じる罪悪感、無力感から自己を防衛するためです。
潜在意識、インナーチャイルドをどれだけ癒しても苦しいままという場合には、おそらくこのしくみが理解されていないからだと思います。
自己=守るべきものと、傷つけた相手=脅威、罪という図式を心に維持したまま、傷ついた感情をいくら慰めても、恐れや怒りから自由になることはできません。
傷ついた原因が、自己の外側に置かれる限り、防衛心や攻撃心を手放せないのは、当然のことです。
インナーチャイルドを癒すことは、すなわち感情を消化する=感じきって無に帰すことと言えますが、自我と同一化した心=防衛が必要な心にとって、それは大変危険なことです。憎しみや怒り、恐れは、防衛のための最大の手段だからです。
だから、癒しには、しくみを知ることが大切だといつも思うのです。
そのしくみを紐解いてくれるのが、純粋非二元論(奇跡講座)や不二一元論です。
どちらも、完全な一元論であり、実在は神(真我)だけであり、世界(潜在意識も含め)は、その中に立ち現れる(幻想である)という捉え方です。
基本的に、私たちの思考のあり方は、自我のそれになっています。このあり方は、真理に基づくものではなく、人生において後天的に身につけたもの、すなわち学習されたものです。
そして、インナーチャイルドを含めたあらゆる癒しにおいて、真理(一元論)がベースにない場合、つまり自我がベースとなっている場合、その癒しは不完全にならざるを得ません。
たとえ、過去の感情がある程度消化されたとしても、心は、対立(分離)と罪(不足感、罪悪感)という戦場から逃れることはできないからです。
スピリチュアルでは、「癒すのは神だけ」とよく言われますが、これはそういうことだと思います。
私たちの見方には、ひとつ(神、愛)の心か、分離(自我)の心か、どちらかしかなく、中庸はありません。中庸と言うとき、人は100%自我の見方になっています。
そして、その見方のどちらかが偽物であり、偽物は、私たちのそれを信じる心(学習による思考)だけが支えています。
その信仰には、私とは何かという概念も含まれます。
私たちは、自我による自己評価を自分だと錯覚しており、インナーチャイルドの傷が深い場合、防衛のために、この自己評価はとても厳しいものとなっている場合が多くあります。
自己評価(ジャッジ)を手放すとき、つまりありのままの心が愛され、赦されるとき、真の自己が見えてきます。
インナーチャイルド=過ぎ去った過去の未消化が、潜在意識下で、今の私たちに大きな影響を与えるように、幻想(今ここにないもの)を実在のように見せるのが、自我との同一化です。
インナーチャイルドであれ、あらゆる癒しは、この同一化を解くためでなければ、堂々巡りのように思います。潜在意識下の、何千年にも渡り積み重ねられた傷は、きりがないほど膨大だからです。
自己とは、思いもかけずこの世界に産み落とされた、傷つき、破壊されることが可能な身体でしかないと認識され続ける限り、過去も潜在意識も、今に溶けてしまう(無に帰る)ことを赦されないまま、ここに留まり続けます。
インナーチャイルドとは、自我世界で生き延びるための鎧と剣のようなものであり、運命的に自己存続の危機感が強かった人ほど、その鎧は強固になりやすくなります。
その鎧は、自我には取り去ることはできません。
だから、インナーチャイルドの癒しには、ヒーリングであれ、祈りであれ、心に神や高次(全き愛)の介入を許すことが必要なのだと思います。
インナーチャイルドヒーリング、潜在意識ヒーリングの際には、重い荷物(抱えてきた感情)やジャッジ(自己評価)を、高次やハイヤーセルフにひとつひとつ手渡し、自由になってください。
どんな思いや感情も、赦されているがゆえに湧きあがり、そしてそれは、私たちが赦すとき、今に溶けていきます。
潜在意識やインナーチャイルドにご自分で取り組みたい方には、アチューンメントもおすすめです。
以下は、私自身、とても助けられてきたヒーリングですので、こちらに紹介しておきます。